一、
読解における感性とは、主体に感情的な反応やある種の精神的な効果を齎す主体の側の能力のことであるが、一般には、芸術的な言語作品は、科学や哲学のように知識を与えることそのものに目的があるのではなく、ある種の精神的な、感情的な経験を与える所に主目的がある。従って、精神的な経験を与える主体の受容能力を感性と換言してもよい。そして精神的経験のうちで特に感動と言われる経験に、文学の目的の第一があるだろう。
読解過程には様々な精神的な働きが重層的に生じているものと考えられるが、特に物語内容と読者の知識経験とが複雑に反応しあって、読み進められる。批評は個々の主体の主観的な問題には踏み込めないが、物語の側と、一般的な主体モデルとの関係においては、作品の意味を扱うことができる。読者の主観性が、程度の違いはあれ、一般的主体としての性格を持つ以上は、批評は読書経験に寄与することができる。
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